4人で一つの個性:フェルメール・クァルテットその2

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先日聴いてきたフェルメール・クァルテット、問い合わせてみると運よくまだ券が取れたので、最終日にまた行ってきました。秋らしく清々しい空気のなか、好きな音楽を気ままに聴きに行くのは、至福の時間です。^^

最終日のメインは第14番。ベートーベン・チクルスを何度も演奏している彼らですが、中身の順番には試行錯誤をしつつも、初日の12番と最終日の14番は変わらないそうです。

ベートーベンが生涯を通して創作し続けた弦楽四重奏曲の中で最高傑作と称される14番で飾るファイナル・ステージに期待しながら紀尾井町に向かいました。

フェルメール・クァルテットのファイナル・ステージ、最終日の感想は続きからどうぞ。
2日目に行ったときはほぼ真ん中の席と、当日売りなのに良い席が残っていてラッキーでした。紀尾井ホールはどこでも良く聞こえるのでしょうが、真ん中はやはりバランスよく聞こえる場所でした。

今日は三列目の右手、第二ヴァイオリンが楽譜から目を上げる度に視線が合いそうでどきどきしました。(^^;第一ヴァイオリンの楽器はばっちりこちらに向いているし、ヴィオラは近いし、チェロの表情も良く分かるという、聴くだけでなく観ても楽しめる席でした。

ステージに上がる4人はベテランらしく落ち着いていて、世界中のステージを自分たちの音で埋めてきた静かな自信を感じさせます。スーツやタイはビジネスマンとあまり変わりはなく、そのまま大学で経済学の講義を始めたり、会議室に集まって新製品の説明を始めても違和感がありません。ぱらりとめくるのはプレゼン資料ではなく楽譜で、手に持つのは指し棒ではなく楽器ですが、40年近く舞台に上っている彼らにとってはステージも職場の延長なのだろうと思います。

第一曲目の第2番はユーモラスな掛け合いで始まり、挨拶という表題はこういうことかと納得。全体的に明るく快活な雰囲気が印象的でした。続く第6番は変化の幅が大きく、静かさから急に激しくなり、またゆっくりに戻ったり。4本の糸が一つに撚られ、また分かれ3本が一緒に流れ、高音が輝いたり中音が響いたりする様が美しかったです。アシュケナージは2日目より音が綺麗でしたが、カルテットではついオケではあまり目立たないヴィオラと、低音の豊かなチェロに注目してしまいます。

職人のように表情も変えずに演奏を続ける4人ですが、今まで数々のアクシデントを潜り抜けてきたんだろうと思わせる瞬間もありました。第一ヴァイオリンのアシュケナージが一番音の大きなパッセージを弾きながら目立たないように二度ほど咳をして、そのあと演奏が静かになった時はタイミングを計っていたのか偶然なのか、感心しました。その後彼が譜めくりに失敗した後も、微妙に調整したのか音がずれることもなく、難しい部分を通り抜けていました。

メインの14番はなんと7楽章からなるのですが、普通の室内楽曲とちがい、間に休みを取りません。静かながら表現豊かに始まり、緩急取り混ぜながら展開されるのですが、ベートーベンらしく、予想を覆すような展開はなく安心して聴いていられます。最高傑作と呼ばれる理由は精緻な造りなのだと思いますが、素人としてはどこがと特定できません。(笑)感覚的に言うと、一歩づつは納得してついて行ったのに、振り返るとドラマチックな旅をさせられていたって感じですか。(^^;

最後の曲のせいか細かい音も聴き逃すまいというような緊張感がホールに漂い、カルテットは4人で一つの音を紡いでいました。それぞれの楽器の音色から響きまで、これでなくてはと納得した音を重ねてベートーベンの室内楽を彩る4名に、カルテットの名前がしっくりきました。フェルメール・カルテットの個性にも、オーケストラのような広がりとスケール感のあるこの曲にもすっかり魅入られました。

ロビーで販売されていたベートーベン・チクルスのCDは一枚1000円とお得なプライス。セリオーソ、13番、14番と3枚手に入れて一枚分の値段と喜んでいたら、約20年前の録音でした。メンバーを確認すると14番は第二ヴァイオリンのみ違い、あとの2枚はヴィオラも違っていました。それでも雰囲気はライブで聴いたものと大きく違っていなかったので一安心。フェルメール・カルテットを生で聴く機会は今日で最後ですが、CDはお気に入りになりそうです。


紀尾井の室内楽vol.2《クァルテットの饗宴2007》
フェルメール・クァルテット ファイナル・ステージ
ベートーヴェン弦楽四重奏曲 全曲演奏会(6)
演奏:     フェルメール・クァルテット
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第2番 ト長調 Op.18-2「挨拶」
弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 Op.18-6
弦楽四重奏曲第14番嬰 ハ短調 Op.131

フェルメール・クァルテット
シュミュエル・アシュケナージ (Shmuel Ashkenasi) 第一ヴァイオリン
マティアス・タッケ (Mathias Tacke) 第二ヴァイオリン
リチャード・ヤング(Richard Young) ヴィオラ
マーク・ジョンソン(Marc Johnson)チェロ
コメント
この記事へのコメント
せっかく6日目に行かれたのに、不調だったんですね。
残念。(^^;その上、すぐ出張とは大変お疲れ様でした。。

最終日は6番は職人技で切り抜け、14番はラストだったせいか観客席も含めて凄い緊張感の中、難しい曲を彼ららしくプレゼンテーションしてくれました。

今井信子さん、プログラムにも言葉を寄せていらっしゃいましたね。ヴィオラには大変興味があるので、本を探してみます。教えてくださってありがとうございました。^^
2007/10/11(木) 00:36 | URL | ろめいん #VWFaYlLU[ 編集]
なつさん、

チケット取れたんですね。^^
のだめにはいろんな曲が出て来ますし、最近は演奏する方も狙っている場合も多く、聞ける機会は多い様です。

偉そうなことは言えませんが、自分の好きな曲の傾向が分かると、他の曲を探す糸口になりますよ。私の場合は作曲家、曲の様式、演奏者、楽器の音そのものなど気になる点から、一番印象に残ったポイントで似た曲を探したりしています。それで芋づる式にはまった訳なんです。(^^;

なつさんもお気に入りができたら、ブログなどで教えてくださいね。^^
2007/10/11(木) 00:26 | URL | ろめいん #VWFaYlLU[ 編集]
私も6日の演奏会を聴きました。
3番、10番「ハープ」、9番「ラズモフスキー第3番」というプログラムでした。
正直、あまり感心できませんでした。ベートーヴェンならではの緊張感に欠ける演奏のように聴こえたのです。

この週末は大変忙しく、顛末はブログの9日付日記に書きましたが、最後の曲が鳴り止むとすぐ東京駅に向かい、のぞみ号に飛び乗って岡山県の津山市へ出張に出掛けなければならなかったのです。
バタバタしていて、感想もそぞろでした。

余談ながら、この団体には一時期ヴィオラに今井信子さんが5年ほど参加していて、今井さんが最近出した本「憧れ ヴィオラとともに」という本で、フェルメール・カルテット時代の事に触れていますので、ご一読をお薦めします。
2007/10/10(水) 22:51 | URL | nomomania #-[ 編集]
楽しい時間を過ごされたようで、良かったデスね。
席によって、音の聞こえ方もやっぱり違うんですね、、。

ワタシもこの間、吹奏楽を聴いてきました。
曲目とかはワタシ的にはいまいちでしたが、、、よかったです。。
その会場のホールで、今後やる公演のパンフを見ていて驚きました。
のだめ登場曲が、たくさん出ているのです。
パンフをもらってきて、とりあえずみんな行くことにしました。3公演あります。まだまだ初心者で、のだめオケ以外のオケの公演は初めてで、アタリなのかはずれなのかは行って見ないと解らないのでドキドキですが。

来年の2月に行われる公演では、曲目に変更が無ければこの間のLesson114で出てきた清良タンの本選の協奏曲、ベルクの「ある天使の思い出に」が聴けます。
気が早いけれど楽しみです。

予算がないので、すべて一番安い席、、、と言うのが悲しいですが。

なんか、井の中の蛙、大海へ、、、みたいな、なんともいえないドキドキ感を感じています。。。
(チケット取っただけなのに、、、)
2007/10/10(水) 17:42 | URL | なつ #-[ 編集]
szellさん、こんにちは!

紀尾井ホールに行く時はいつも時間ぎりぎりなので、到着したころにはじんわりと汗ばんでいました。

次回は四谷から下り坂で行ってみようかしら。。(って、違う)もっと余裕をもって出かけろってことですよね。(^^;

ベートーベンの弦楽四重奏はきっちりした造りなので、知らない曲でも安心感があります。ホールはこじんまりしてどこに座っても失敗ないし、チケットも取りやすいので楽に行けます。

そんな消極的な理由で室内楽が多いのですが、ご縁があれば行ってみてくださいね。^^
2007/10/08(月) 10:18 | URL | ろめいん #VWFaYlLU[ 編集]
暑からず、寒からず、カラリと晴れて、気持ちの良い一日でしたね。
こんな天気なら、紀尾井ホールへの坂道も苦にならなかったんじゃないでしょうか。
でもまだ、少し汗ばむかな。^^;

弦楽四重奏はベートーベンの中でも、特に渋い曲が多いですよね、数曲の変奏曲と並んで、ベートーベンの中でも縁遠いレパートリーです。

2回のコンサート、楽しめて良かったですね。
来年は少し、室内楽にも目を向けてみようかなぁ・・・
ろめいんさんに刺激を受けて。 (^^)
2007/10/08(月) 00:44 | URL | szell #-[ 編集]
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