カフェと映画は休日の楽しみ その2:ラフマニノフ ある愛の調べ

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音楽映画でも観ようかと軽い気持ちで銀座テアトルシネマに向かい、ポスターを見て初めて恋愛映画でもあることに気づいた管理人。それだけでも恋愛映画を滅多に見ないことが伺い知れます。(^^;

降って湧いた休日にすっかりリラックスしていたせいか、事前知識が全くなかったせいか、単純にぼーっとした人間のせいか、ロシア語のタイトルを見て初めてロシア映画だった!と気づく始末。久しぶりに聞くロシア語の響きに初めての海外出張でー30度Cのモスクワに2週間も滞在した事を思い出してしまいました。その際にほんの少しだけ勉強したキリル文字は全然忘れていて、「P」は巻き舌のRだったなーとか、ソ連邦だったころのオリンピックのユニホームにはCCCPと書いてあった!と映画と無関係な妄想が次々と出てきてだだ漏れ状態。舞台の半分はアメリカなのに、セリフはすべてロシア語+日本語字幕という不思議なシチュにいろんな思いが湧いてしまいました。

映画の感想というより、映画を見ながら脳内バックグランド処理をしていたことを、あとからまとめようとしてうまく行ってませんが、(笑)よろしければ続きからどうぞ。詳細なストーリー説明はありませんが、GWに観る予定だと言う方はお帰りの後にでもお読みください。
いきなり始まるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。セルゲイ・ラフマニノフはこのカーネギーホールでのリサイタルを成功させてアメリカでの基盤を固めなければならないプレッシャーの元、逃れてきたソビエトの駐米大使が客席にいることに気づく。重い精神的重圧に耐えきれそうもない、セルゲイは弾けない!と宣言するが周りの支えもあり、なんとかその局面を乗り切る。聴衆の賞賛と熱狂の中、全米でのツアーが始まるが、彼のメランコリーは重くなるばかり。

掴みはオッケーな感じな演奏で始まった映画ですが、演奏の方は正統派・イメージ通り。ラフマニノフの場合は実際の録音が残っていますから当然ですね。千秋様の演奏はチャーン(pp) ダーン、チャーン ダーン と華麗でしたが、セルゲイにはより緊迫した雰囲気が漂います。(ちなみにのだめの演奏はバーン(ff) ドコーン、 バーン ダーン・・で破壊的な印象でしたね。)

ラフマニノフを演じたツィガノフは本人にそっくりで、いつも神経を病んでいる主人公を好演しました。これで2メートル近かったら文句ないのですが、そこは演技でカバー。妖艶な悪女、貞淑な妻、情の厚い革命家など様々なタイプの女性に囲まれながら、演奏と作曲の間で悩み、亡命先でセレブとしてもてはやされながらも帰れぬ祖国を思いメランコリーに沈む天才。大の男がセンチメンタルで、大地のような女性が支える様がロシア~な感じでした。

ロシアでは精力的に作曲に取り組んでいたのに、演奏に専念しろという恩師や交響曲第一番の大失敗に苦しみ、アメリカでは演奏家として名声を得る一方、作曲することができずに苦しむ。焦燥感の中で恋い焦がれるのは故郷のライラックの花咲く庭。ライラックの花言葉は初恋、無垢、青春の思い出などですから、セルゲイにとっては「理想化された過去」なのではないかと思います。実際は両親の不仲、破産、領地の売却などがあり、その中の幸せな瞬間が特に輝いて見えたのだと思います。いつか成功してこの別荘を買い戻すという夢も、ロシア革命のもと米国に亡命して、かなわないものとなります。ロシアでの過去と米国での生活が並行して交互に描かれるのでやや混乱しがちですが、セルゲイの機嫌がいつも悪い理由は良く分かります。

そんな複雑な思いを知るように演奏後に届くライラックの花束。送り主は誰?というのが予告編のポイントだったので、さらりとしたオチに拍子抜けしましたが、そのライラックを家に持ち帰り庭に植えたのは、ここが夢の我が家だという宣言でしょうか?遠くへ旅して探した青い鳥は家に居た、というパターンのハッピーエンドですね。

ロシア語の原題はVetka Sireni(ライラックの枝)英文タイトルは“Lilacs”なのはうなづけます。比べると邦題の「ある愛の調べ」がチープに聞こえるのですが、デート客を呼び込むには「映画 ラフマニノフ ライラック」では難しいと判断されたのですかね?(^^;

「これは史実とは異なっており、フィクションです」との注意書きが目立った通り、いろいろストーリーを変えていました。ラフマニノフのライフストーリーはうろ覚えだったので、まずはそれを確認するはめに。例えば映画では訪ねてきたチャイコフスキーをすっぽかし、それが引き金で恩師との関係が破たんするんですが、実際はチャイコフスキーとは懇意にしていたようですね。史実を変えてストーリーを紡ぎ直すのは当然なのですが、「チャイコフスキーの影響って大きくなかったっけ?」と思ってしまいます。

自分としてはスタインウェイがやり手マネージャーみたいにツアーにくっついたり、ナターシャに思いを寄せたりするのはちょっと濃すぎるような気がしました。ダール博士がもと妻のいいなずけと言うのも、ねぇ?

20年代のファッションは見て楽しかったので、ナターシャがドレスアップしすぎなのは許そうと思います。^^スタインウェイの名前の入った客車でツアーするというのもアメリカらしい豪華さ。いくらピアノも積んでいるとはいえ、作曲する環境じゃないですよね。彼は、アメリカでは1000回以上も演奏会をしていたそうで、実際はナターシャが結構うまく働かせていたのかもしれませんね。

好きなシーンは思い出の別荘に帰って、ナターシャと寄り添ってヴォーカリーズを弾くところ。ほこりまみれのピアノの調律については気にしないことにします。

突っ込み所も満載の映画ではありましたが、いろいろ詰め込んで83分ですからこれ以上は無理でしょうね。映画音楽としてみるともっと音楽を!ですし、伝記としては脚色が多すぎる。芸術家成長物語にするなら米国で作曲が出来るようになるところまでを描けばよかったかも。例えばライラックを見つめながら有名なパガニーニの主題による狂詩曲をビバリーヒルズの邸宅で作曲するとか。実際は故郷を思わせるスイスの別荘で作曲されたのですがね。

恋愛映画としてはどうなんでしょう?なにせメインカップルがラブラブなシーン(死語)はあまりないですから。妻の愛は深くて強い!って所ですかね?革命家マリアンヌとの関係は生徒から唐突に恋人になったと思ったら、彼が逃げて、再会して救われてと波瀾万丈。。彼女の内面をもう少し掘り下げたら良かったかも。カップルで行かれるなら、どちらかがクラシック好きなのがベターだと思います。

褒めてるんだか、けなしているんだか分らない感想ですが、ロシアーな雰囲気に浸りながら名曲の断片を聴き、歴史に翻弄される芸術家の苦悩を共有して日常を忘れたい方にはお勧めです。

映画 ラフマニノフ ある愛の調べ

監督:パーヴェル・ルンギン
セルゲイ・ラフマニノフ: エフゲニー・ツィガノフ
ナターシャ:ヴィクトリア・トルストガノヴァ
上映: 銀座テアトルシネマ、BUNKAMURAル・シネマ他

http://rachmaninoff.gyao.jp/

セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ
Сергей Васильевич Рахманинов
Sergei Vasilievich Rachmaninoff
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