心を揺さぶる響き:エレーヌ・グリモー ピアノリサイタル

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今年はコンサートに行くぞ!と気合いを入れていたお陰か、正月明けてからいろんなライブイベントに縁がありました。スタンダードジャズ、バレエ、ピアノリサイタルと続けざまに堪能し、幸先の良いスタートです。

中でも素晴らしかったのは、エレーヌ・グリモーのリサイタル。一部ではリアルのだめと言う噂もある、個性的なフランス人ピアニストです。

ラフマニノフを弾いた天才少女としてだけでなく、野生狼の保護の活動などでも知られている彼女には、ピアニストの枠を越えても興味を惹かれます。インタビューや著書で知り得ただけでも、音楽的な知識と表現しきれない感情に溢れており、ドレスアップすれば映えるだろう透明感のあるルックスを敢えて地味に抑えているようにも思えます。が、そんな複雑な内面もまた魅力に感じていました。(以前紹介してくれたH師匠、ありがとうございます!)

そんな彼女のリサイタルを生で聴けるとは、なんという幸せ♪
と言うわけで念願が叶い、全然冷静ではない管理人です。

例によって曲の予習もできなかった上に、プログラムも演奏前に読まずに感じたままを綴った感想なので、的が外れていたらゴメンナサイ。

それでも良いよという太っ腹な方のみ続きからどうぞ。

今回のリサイタルは新しいCD”Resonance”と同じ演目で、各地で演奏会を行っています。日本ではリサイタルのみですが、欧州では今シーズン、ベートーベン、シューマン、モーツアルトのコンチェルトも予定しており、そちらも聴きたかった!と思ったりします。でも同じ演目に集中するのも、2、3日おきの予定なのも、コンディションを整えて最高の演奏をするためかもしれませんね。

仕事をダッシュで片付けて、開演10分前にサントリーホール到着すると、カラヤン広場には祝祭っぽい雰囲気が漂っていました。クリスマスのイルミネーション好きな管理人は、後ろ髪を引かれながらホールへと急ぎましたが、写真を撮る暇がなかったのは残念。

待ち合わせの人々でざわつくエントランスで、体格の良い西洋人の男性に眼が止まりました。ソリストの様な華やかさはないから、オケの人?でもメンバーを覚えるほどひいきのオケはないし…と首を傾げながら二階席へ向かう間に、不機嫌そうな表情は映画版に出ていたマルレのコンマスさんかも思い至りました。ひょっとしたら似た他人かもしれませんが、白っぽい髪も憮然とした口元もそっくりで、リアルのだめのコンサートに、シモンさんが駆けつけたと想像して怪しく笑っていた管理人です。

ところで今回の席は、二階の舞台真横でピアニストの真っ正面。オケを聞くのに横の席を取ったことはあっても、ピアノでは初めての経験です。演奏の最初の頃音がずれて聞こえたのは席のせいだと思っていますが、ぼけた耳のせいかもしれません。(^^;

モーツアルトのソナタでは、聞き覚えのある演奏とテンポが違うことでやや尻込みしてしまいました。また、最初の頃は席の場所のせいか音が歪んだ感じもありましたが、却って不穏な雰囲気が伝わったようです。(後でCDを聴いたら歪みはなかったので)第二楽章は夢の様に美しくも、甘くはならない統制の利いた表現が印象的。終楽章は変化に乗って、どきどきわくわくしながら、気持ちよく終わりました。

ベルクは初めて聴く曲でしたが、圧倒されました。普通に聴くと難解な曲を、素直に聴いて楽しめたのはグリモーの解釈と演奏のお陰だと思います。具体的にどこを工夫されたかは判断できませんが、現代的な曲にありがちなバラバラ感や、聞き手が付いてゆけないような突き放した感じがないのは分かります。客席全体が物語を聞くように、聴き入っていたのが印象的でした。

リストのピアノソナタはピアニストの個性が出る曲ですが、ざらついた音も計算されていて乱暴な部分はなく、その後に出て来る美しい部分が際立ちます。細かい部分よりも、全体として何度も現れる主題が、寄せては返す波の様でいて毎回違っており、その度に深淵を見たり、雲間が開いて光が見えたりと、旅の道のりか歴史の流れかと想像しながら聴いていました。最後の盛り上がりの更に後の静かな終わり方で、ホールに最後の音が響いて静けさが訪れた時に、アルバムのタイトルResonance (共鳴、反響)に籠めた意味が分かったような気がしました。

バルトークで終わるのは意外な感じがしましたが、聞きやすくて楽しい曲です。快活で、賑やかな踊りの曲に、今も昔も変わらない人の営みと将来への希望を感じました。ブログパーツに置いたグラモフォンの公式ビデオも、ルーマニア民族舞曲で編集されていますが、現代の生活と共にあっても違和感がないのが素敵です。

熱狂的な拍手の後に、アンコールでまず演奏されたのはグルック。ドラマ性があって豊かな曲に揺さぶられながら、なんの曲なのか見当も付かずに歯がゆい思いをしましたが、オペラの間奏曲だと後から分かって少し納得。客席全体がほぅっと溜息をついてから、拍手に入るアンコールって珍しい気がします。最後の曲、ショパンの練習曲には、哀しみを刺激されて余韻を胸に残しながらホールを後にしました。出口で大変な数の人、(それも中高年)がアンコール曲を写メっていたのが、微笑ましく思えました。

傍らに千秋が居たのなら、それぞれの作品や作曲家の影響を饒舌に語ってくれるのでしょうが、あいにく見当たらなかったので(笑)、帰り道にプログラムを読むことに。このユニークな選曲は、オーストリア/ハンガリー帝国の栄光と滅亡のストーリーなのだと知り、素人的な聴き方もそれほど外れてはいなかったらしいと安心しました。

これからしばらくは、このアルバムが一番のお気に入りになると思います♪


エレーヌ・グリモー ピアノ・リサイタル
 2011年1月17日 サントリーホール

演目 モーツァルト:  ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K310
   ベルク:     ピアノ・ソナタ op.1
   リスト:     ピアノ・ソナタ ロ短調
   バルトーク:   ルーマニア民族舞曲

アンコール グルック: 精霊の踊り
      ショパン: 3つの新しい練習曲 ヘ短調
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